話を聴くということ
4.質問のスキル (7/10)
わからない時は?
全能の神でない限り、人は知らないことがたくさんあります。本当に、知っていることしか、知らないわけです。ですから、わからないことをきかれることやわからない状況に陥ることも、よくありますね。そんな時、どうしていらっしゃいますか?
知らない、わからない、ということを心理的に、正直に言いにくい場合があります。たとえば、部下に質問された時の上司、素人に質問された時のプロ、生徒に質問された時の先生、参加者に質問された時のインストラクターなど。
皆さんどうしているのかしら、と思い、これもたくさんの方にインタビューしたことがあります。その中で、もっとも評判が悪かったのが、ごまかすことでした。次いで、いい加減に答える、曖昧にする、調べて返事をすると言っていつまで経っても返事をしない(つまり、その場しのぎに口をついで出たでまかせだった)などがあがりました。
逆に、好印象としてあがったのが、申し訳ない、わかりません、教えていただけませんか?と言ってしまうことでした。それを言う方の側は、その表現に躊躇をみせるのですが、きく方の側は、好意的です。
どうして好印象なのか尋ねると、(偉い、と思っていた)先生やプロにもわからないことがあると知って親しみがもてる、正直な態度に好感がもてる、ごまかされるより信頼できる、などの意見がありました。
私も、セミナー中、参加者のことでよくわからないことがあると、これを使います。反応が今ひとつだったり、ピンときていないようすが見えると、"皆さん、ご理解いただけていないようですが、私、皆さんのお仕事と関係のないことをしゃべっていますか?いかがでしょうか"と、ゴメンナサイ、教えて下さいというニュアンスで申し上げます。そうすると、逆に場の緊張感がほぐれ、いい結果になることを経験しています。でも、くれぐれも、何度も使わないように。プロとしての信頼を失ってしまいますから。また、根底に、両者の信頼関係があってこそ生きるスキルです。そうでない時には、使わないほうが無難かもしれません。