話を聴くということ
4.質問のスキル (6/10)
問い返すということ
会話の中で、質問をされて、即座に適切な答えが見つからないことがあります。あるいは、また、こちらとしては的確に答えているつもりなのですが、納得していただけないように見えることがあります。
そんな時に役立つことがあるのが、その質問を、そのまま相手に返してみることです。
たとえば、“こういう場合、どうしたらいいのでしょうか?”と質問された場合、“そうですね、これこれの場合ですね。〇〇さんは、どうしたらいいとお考えですか?”というように返すのです。
問い返す質問は、次の二つの場合に効果的です。
一つは、人は質問する場合に、自分がそれについてすでに意見、考えをもっていて、それを発言するきっかけをつくるのに質問という形式をとることがあるのです。そんな場合は、問い返して差し上げると、待っていましたと言わんばかりに、ご意見を展開して下さいます。
もう一つは、こちらがその質問についてもう少し考える時間やヒントが必要な場合です。このように問い返すことで、時間と新しい情報を得ることができるのです。
この問い返す質問をする場合、注意してほしいことがあります。それは、問い返す前に、相手の言ったことを一旦受け止めて、復唱して確認し、一呼吸置いた上で、問い返して下さい。相手の質問が終わるや否や、“では、あなたはどう考えるのですか?”といきなり切りかえされたら、あまりいい感じはしませんね。これでは、なんだか挑戦的で、議論をふっかけられているように感じることでしょう。あるいは、答えられないから、それをごまかしている、という否定的な印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。それを避けるために、是非、質問をしかと受け止め、質問の趣旨を理解している、ということを、示して下さい。
この質問を使うと、たまに、“わからないからきいているんですよ!”というお返事が返ってくることがあります。普通、質問は、わからないからするのですものね。