話すということ
1.話す目的
この章では、説明や提案、依頼、報告などをすることで、相手の行動や認識に変化を促す、あるいは合意や同意、意見や助言、協力を求める目的で行われる口頭での表現活動についてお話ししていきます。
目的のある表現であれば、ビジネスでもプライベートでも、相手が単数でも複数でも、これに該当すれば、およそすべてをプレゼンテーションと呼びます。それは、いずれの場合も、基本は同じだと思うからです。
企業研修インストラクターとしてのトレーニングを受けていた時、先輩のインストラクターからこんなことを言われたのを、今でも覚えています。「人は、ききたい時に、ききたいきき方で、ききたいだけしかきかない。」
きき手というのは、そのような生態をもっている、と最初に教えられたのです。その時から、インストラクターとしての私の仕事は、どうやって参加者をききたい気にさせ、ききたくさせる話し方をし、飽きさせない進め方をするか、を一つの目標とすることになったのです。
「積極的に生きる人にとって、人生は、プレゼンテーションの連続である」という言葉をきいたことがあります。話す、ということは人間の行為の中でもとてもアトラクティブで、短い時間に大きな変化を引き起こす可能性を秘めていますね。たとえば、レストランで食べたいものを注文する、というようなささやかなことでも、さまざまなプレゼンテーションの仕方があり、それによって、結果に違いが生じることさえあります。お互いが気持ちよく仕事をし、生活するためにも、ご自身が他者に発する言葉に、すこし注意を向けてみませんか?
ここでは、プレゼンテーションのごく基本をご案内します。ここからヒントを得て、これからの人生で、あなたの個性を活かした、あなたにしかできない、魅力的なプレゼンテーションを創りあげていくことを期待します。
それでは、ポイントを具体的にご案内してまいりましょう。