話すということ
3.話の組み立て (2/3)
本論
序論でいいスタートがきれ、きき手が興味を示しだしたら、本論に移ります。本論では、次のポイントをおさえて下さい。
@きき手に対する理解、共感
A能力の説明
B今までの経緯、ニーズの確認
Cポイントを3,4点
D補強
E想定質問への対応
@きき手に対する理解や共感とは、きき手やお客さまの会社や業界について理解しているところを伝えたり、相手の立場に立って考え、疑問や不安などがありそうであればそれに対処します。
A能力の説明とは、このプレゼンテーションのテーマに関して、自分にはどんな能力や経験があるかをお話しすることです。大げさに伝えると耳障りなものですが、さりとて何も触れずに進めていくと、きき手は、話の内容を理解しながら、同時にあなたの能力や経験を推察していくことにエネルギーを使うことになってしまうのです。
B今までの経緯や、きき手のニーズについて、こちらの話を始める前に確認することは、きく側にしてみるととても大切なことです。あるコンピュータ・メーカーでは、プレゼンテーションの中で、これが行われないものは、それだけで大きな失点だそうです。その会社の営業部長は、“プレゼンテーションの中で、ここが一番大事でしょう?”とおっしゃいます。その意味がわかりますか?ピンとこない方は、§27「それに応える」をもう一度、読んでみて下さいね。
Cポイントは、3,4点に絞ります。なぜなら、人がポイントとして認識するのは、2点から4点程度だからです。これ以上多くなると、その中でまた、2点ほどがポイントとして把握されることになります。そして絞ったポイントは、話の筋道を損ねない限り、重要なものから並べます。というのも、ビジネス・プレゼンテーションでは、途中で質問が入って時間がとられたり、キーマンが呼び出されて中座したり、予定されていた終了時間が切り上げられることがよくあります。ですから、そういう事態になっても困らないように、大事なことは前にもってくることをお勧めします。
D補強というのは、Cで話したことを裏付ける証拠、事例、データ、統計、記事のことです。専門家や公平な第三者の論文、数字などがあれば、より確証性が高まります。製品の説明であれば、実物を見る、触る、体験する、味わう、操作することが、とりわけ説得力をもちます。
E想定質問への対応というのは、きき手からの質問を受ける前に、よくきかれる質問や、理解を助ける質問を、こちらから持ち出して答えることです。“よく、〇〇という質問を受けるのですが、…” “ここまでの話をおききになって、皆さん、△△ということが疑問なのではないでしょうか?”と切り出して、それに答えます。もちろん、きき手から質問がたくさん出そうな時は、引き続き質疑応答に移り、その中で補充しても構いません。場合によっては何も質問が出ず、拍子抜けするようなこともあります。そういう時には、Eは役立ちます。