あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
関係性から離れる

3.知恵を取り戻す

人が今いるところから一歩でも進もうと思い、足をあげても、その場で足踏みを続け、一歩前に出ることができないことがあります。

たとえ、それがけして続けたいほど魅力的な状況ではなくても、まるで闇の中にいて本質を見ないようにしているかのように、恐怖を与えるもののそばにいることが、あります。

何か自分を脅かすことに直面した時、あなたはそれをどう認識しているでしょうか?

お客さまやまわりの方の交渉ごとや問題解決のお手伝いをしていて感じることは、人はともかくも生き延びていくためにいろいろなプログラミングをされていて、ひとたび恐れを感じると、自動的に防衛的になり、相手からどれくらい奪うか、逆に相手からいかに奪われないようにするか、という思考が働くようになっている、ということです。

もし、起っていることを、自分にとっての利害、メリットとデメリットの斟酌から離れて、“これは、何が起っているのだろう。このことの意味、本質はなんだろう。これがこのまま進んでいくと、どうなるのだろう。”というように、上のほうから俯瞰する思考ができたら、ずいぶんと状況は違うのではないか、と思うのですが、いかがでしょうか?

恐怖の渦の中にとっぷりと取り込まれてしまうと、日頃は有能な方でも、まるで目隠しをされ、耳栓をされて、右往左往しているように見える言動をとることがあります。恐れも感情ですから、それをそのまま取りのぞくことはできません。恐れという感情は、しかし、人から健全な思考も精神エネルギーも奪ってしまう、ちょっと厄介な存在です。

そして、恐怖を克服する、という名目の元に、必要以上とも思われる言葉や行動が生み出され、さらに駆り立てられ、自分に休むことを許さず、疲れ果てても寛げず、さらに活動し、という、まさに今の世の中の基本形ができあがっている、そんなふうに感じるのです。あげくに、それではいけないとばかりに、社内にヒーリング・ストーンを置いた瞑想室を設ける国際企業が出てくる、さらに“癒し”そのものが大きなビジネス市場になってきているのです。
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