関係性から離れる
2.個を生きる
数多く起っているこれらの事象から、おそらく私たちが学ばなければならないのは、新しい家族のあり方や、個としての自立だと思います。
無償の愛は、あるところにはありますが、ないところにはありません。関係性を離れたところからものごとを見る訓練をする、いつもそう意識することが、関係性の呪縛から、相手と自分を自由にすることに役立ちます。親子、パートナー、上司と部下、コミュニティーのメンバーの間などで、思うようにならない、満たされない、不満がある時、ご自身が関係性からものごとを見ていないかどうか、その“思考”を確認してみると、何かを発見するかもしれません。
逆説的なようですが、個対個を生きる、そのことが実は関係性をも修復します。関係性によるあたりまえの(自動的な)言動ではなくて、それを超えた世界を生きることが、実は関係性をも修復するのです。親だから、夫だから、上司だから、という立場からの物言いや行動ではなく、自分がこうしたいから、こう貢献したいから、こうあなたに希望するから、と個として働きかけてみると、あなたをめぐる関係は、どう変わっていくでしょうか?
関係性の中での立場、役割としてではなく、個人が個人として人生に責任をとり、幸福になる力をもっていることを、思い出して下さい。
ものごとは、何であれ、それに関わる両者が合意して初めて起ってきます。あなたが、今日から関係性を離れてものごとを見て、感じ、行動しようとしたとします。それでも、まわりには、そうでない方がたくさんいらっしゃいます。それでも、あなたが、いつものパターンを繰り返すことをやめて、個対個という観点からものごとを見て言動をとることで、関係性の中にいる方にも影響を与えることができるのです。
与えられた価値観にNoといい自分に正直であるだけで、まわりから非難され否定されつぶされる、個というかけがえのない宝がそうやって封印されてきたこと、さらにそれを心理的伝統として伝えてきた過ちは、もう断ち切らなくては人類は進んでいかない、と思えてなりません。