あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
自分自身になる

1.価値の転換

第三章のところどころでご案内してきたように、新しい時代になると、価値の転換が起ります。今まで美徳だった“頑張る”“気を使う”“競争に勝つ”ということが、逆に自分自身の調和を乱し、全体のバランスを壊すことになりかねません。

皆さんもすでに気づいているのではないでしょうか。たとえば、いまだに強烈な競争原理の中に生きていて、タフに戦い抜こう生き延びようと、自分を殺し相手を叩きながら歯をくいしばって頑張っている方をみて、どこかから回りしている、一人で昔の相撲をとっている、そんなふうに感じた瞬間はありませんか。いったい何をそんなに恐れているのだろう、何と戦っているのだろう、自分を満たすこともできないで、と、意識の深いところで、かすかに思ったことはありませんか。そんな時、皆さんは、新しい時代の価値を感じていたのです。

この章でご案内したスキルや考え方、ヒントは、読むだけではどうにも納得ができない、むしろ、危惧や矛盾を感じることもあるのではないか、と思います。私自身がそうでしたから、よくわかりますし、私も成長の過程にいます。もしあなたにとってお役に立つものなら、心のどこかに気になる思いが残り、必要な時がきたなら、きっと思い出してやってみることになるでしょう。ですから、何の心配もいりません。

新しい時代にあなたを助けていくだろうやり方は、他にもたくさんあります。たとえば、ご自身の夢を毎日書き続けていらっしゃる方がいます。夢といっても、究極の夢を一つ、というと別の力が入ってしまいますから、40、50という数を目途に、毎日ノートに書き綴るのです。そうすると、一週間のうちには叶う夢も出てきます。そうすると、叶ったことがうれしくて、そのことがあなたを助け、エネルギーを与え、そしてまた書き綴る、その繰り返しがあなたを大きくし、大きな夢に近づけてくれるのです。

また、今のままの自分でいいんだよ、と誰かが言ってくれるのを待つのではなく、自分で言ってあげる時の、その自分自身への伝え方などお教えすると、その場で五感に変化を感じられる方が想像以上に多いのです。

自分に対しても、部下やまわりの方に対しても、褒めることの力をもっともっと使うことをお勧めします。褒めることが、まるでそうすると取り返しのつかないことになるように感じる方の多いことには、いつも驚かされます。叱ること、罰することでも、たしかにアウトプットとしては同じ結果を出すことになるかもしれません。けれども、相手と自分に与える影響、また、それを含む全体に与えるものは、かなり異なりますね。

今まで褒めることをしてこなかった方は、まず、自分を実験台に褒めるスキルを身につけて下さい。褒め方も、目的に応じていろいろありますが、自己成長に焦点をあてた場合には、こんなやり方が役に立つでしょう。ご自身の言動を振り返る時、まず、よくできた点を3点、具体的に意識し、その後改善点を1点だけ明確にするのです。ポイントは、よくできた点を先にすること、振り返りはできるだけ具体的で観察可能、測定可能な表現ですること、よくできた点はなるべくたくさん、改善点は一つに絞ることです。ふつう、改善点を最初に、しかもひどくたくさん挙げる方が多くいらっしゃいますが、そういう方が、では次回にそこを改善するか、というと、まずそうはなさいません。人が一度に改善できるのは、一つか二つでしょう。ならば、たくさん反省するより、一つだけ取り上げ、そのことだけは、次回に必ず改善することにした方が、成長が早いと思いませんか?

こんな褒め方なら、けして甘やかすことにはなりません。むしろ、よくできた点も、改善点も、具体的、観察可能、測定可能な表現ができるようきちんと把握することになるので、今までより、自分に厳しく向かいあうことになるのです。そして、改善点が改善されやすくなるだけではなくて、よくできた点も明確に言語化し意識化することで、より洗練され、よりよくできるようになっていくのです。

自分のことを自分で正しく評価しないで、誰がしてくれるでしょうか。また、自分を正しく認められないで、どうして人を正しく認められるでしょうか。

インターインディペンデントの時代には、自分のこともまわりのことも褒めることを恐れないで下さい。
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