今を生きる
2.過去を生きる、今を生きる
では、仮に、この“過去(の積み重ね)が、今(のものごと)を創る”という古い思考を、“今の瞬間、今(のものごと)は創られる”
“今(のものごと)は、今の瞬間、自分が創る”という新しい思考に置き換えると、どういうことがおこるでしょうか?
今まで、時間が、過去から現在、未来というように流れていくと感じていた方には、少し、抵抗のある思考かもしれませんね。たとえ古い思考が、あなたに制約を課しあまりいい結果をもたらさなかったとしても、今までなじんできたものですし、ともかくその思考で今まで生き抜いてきた、という実績があります。新しい考えをきくことには違和感があり、また、そんなことはきかせないでほしい、という気持ちになるかもしれません。
新しい思考に置き換えてみて、もしそれでわるいことや不都合が起れば、いつでもまた古い思考に戻れますし、何のコストもかかりません。口にしなければ、誰の知るところともなりません。
では、少しの間、思考を置き換えるとどうなるか、試してみましょうか?
“今(のものごと)は、今の瞬間、自分が創る”と考えると、あなはた過去ではなく、今に生きることになりますね。過去がどうであれ、今現在、あなたが望むことを実現していくことが、自由にできるようになります。
過去に縛られることは、ある方々にとっては固く、冷たく、縮こまった感覚、無力感を引き起こします。また、過去から離れられないことが、今現在のあなたの自由を制約するので、自由に無邪気に今を生きる方々、部下、同僚を見ると心穏やかでなく、それが自分の子供であれば、自分と同じような制約を課そうとする言動を引き起こす、と勇気をもって話して下さったお母さまもいらっしゃいました。古い思考を手放してみたら、ただそれを信じて疑わなかったから、過去から現在、未来という時間軸の中に閉じ込められていたことがわかった、とおっしゃる方もいらっしゃいます。
もし、過去に生きることが、最も自分を満たし、今を輝かせ、夢を促進し、周りの方にも貢献する言動を引き起こすならば、その方にとっては、それがとてもうまく作用する思考です。でも、もし過去に生きることで、何の解決策も見出せないでいるとしたら、今に生きる思考に、徐々に置き換えていくことは、やってみる価値があるかもしれません。過去に影響を受けることなく、今必要なことを希求し、心の声が求めるままに動くことを自分に許し始めれば、今までとは違う可能性がひらけますね。
人が肉体だけの存在なら、DNAに書き込まれた情報通り、肉体に刻まれた記憶通りに拘束されますが、人には自由意志があります。その自由意志で、自分の採用する思考は、自分で選択できるのです。
今に生きると、今は、今の瞬間に、過去とは何の関わりもなく創造されます。過去がこうだったから今がこうだ、という表現が、よくもわるくも、使えなくなります。今できないことを過去のせいにできないし、過去が足枷になって今できない、ということがなくなります。そして、過去の体験は、もちろん自分と切り離すことはできないけれども、それをどのようなものと意味付けするかを選択し、創造しなおすことができます。
もし、今、苦しさや不幸を感じているとします。そしてその原因が自分以外のところにあるので、その原因がなくならない限り、この状態からは抜け出せない、と思っているとしますね。それが、新しい思考に従うと、ものごとは、どう様相を変えるでしょうか?その苦しさ、不幸は、今、自分が創造していることになります。どうでしょう、その苦しさも不幸も、誰のせいでもなく、自分が創っているとしたら?そんなはずはない、あいつのせいだ、環境が悪いからだ…とまわりのせいにできなくなるかわりに、手にすることができるものがでてきます。そうです、その苦しさ、不幸を手放すことを選択する自由を手にすることができるのです。
苦しさや不幸を、まわりのせいにしたところで、誰もそれを満たしてくれることはできません。あなたが体験した苦しみや不幸を、あなた以外にわかる方はいないのです。そのあなたが、自分を包み癒してあげなくて、どうして癒されるでしょうか、報われるでしょうか。
過去の成功体験が繰り返せない今の時代に、手に入れたこの新しい考え方を、あなたなら、どう使いますか?