あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
セルフ・リーダーシップ

1.新しいリーダーシップ

自分が満たせて、初めて相手を思いやるスキルを効果的に使うことができます。自分を満たすには、自分を知り、認めることです。自分を満たし、相手を満たし、日本が満ちて、国際競争力もついてきます。

意識段階の変化は、リーダーシップの本質も変えていきます。

依存型の意識がつくる社会は、「ピラミッド型」です。そこでは、人の個性や違いは評価する必要もなく、何が正しいかという議論さえ無意味で、誰が正しいか(それは、ピラミッドの頂点にいるのです)がすべてでした。ピラミッドの頂点を目指しての絶え間ない競争や比較が行われ、そのストレスたるや大変なものですが、それは延々と続きます。この凄まじい競争のエネルギー源は、お金や権力です。

この時代のリーダーシップは、まさに“権力”です。権力というのは、最も依存的なリーダーシップです。誰かからエネルギーなどを奪わなければ存在し得ないわけですから。そして、それに身を任せる側は、個としての責任は少なく、まわりを見ながらそれに合わせて行動を起すようになります。このあり方では、ピラミッド社会のエネルギーや生産性は、一人一人の構成員全員の総和よりも少ないことになりそうですね。

それが、人の個性や違いを認める「自主・独立型」になってくると、一人一人は、何にも寄りかからず、フラットな関係で、個として点在するようになります。自分でリスクをとり考え判断する人々を、権力で支配することはできず、ここでのリーダーシップは、人としての魅力、人間力とでも呼ぶのがふさわしいような力で、“影響”を与えていくものになります。ここでは、一人一人の総和がそのまま全体としての力になるでしょう。

さらにそれが、個性や違いを活かしあう「インターインディペンデント型」になると、人は、まわりに影響されず、自分の価値観に従って、自ら行動を起していくようになります。自分というものは、もう当然のこととして誰にも影響されない個として存在するのですが、その個は、お互いに切り離されたものではなく、あたかもインターネットのように、根底で綿密に繋がっています。情報は素早く伝わり、分かち合いや必要な協力、相互扶助が自然発生的にそこここで起ります。ここでは、調和に向けての力が働きます。

さて、ここでのリーダーシップはどのようなものでしょうか?それは、“質問”型のリーダーシップとでもいうのでしょうか、相手を受け容れることで、相手から、より大きな力を引き出していく、そんなリーダーシップです。ですから、ここでは、一人一人でいる時の総和をはるかに越えることが、全体としては起ってきます。

このようなリーダーは、「ピラミッド型」、「自主・独立型」のリーダーとは趣が異なり目立たないので、一見してどこにいるのかわかりにくいかもしれません。自分の力でのリーダーシップではなく、相手の力を引き出すリーダーシップ。凝縮性ではなく受容性。昨今の世の中を見ると、そろそろ、そんなリーダーに時代を任せた方がいいのかもしれません。あなたのまわりに、そんな方が、いらっしゃいませんか?