人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
2.ソーシャル・スタイル
さて、そのコミュニケーションのタイプを考える時、ソーシャル・スタイルという理論があります。これは、まわりの方が認める、個人の、習慣化した行動のパターン、という意味です。
A子は、皆といると元気のいい明るい声でよくしゃべり、いつものメンバーで食事にいこうなどという話になれば、“いこう、いこう!”と決めるのも速く、お店を探すなどの行動も素早く、あっという間に話をまとめてしまいます。
一方、B子は、A子がサクサクとことを進めている間、みんなのようすを気にかけたり、誰かに負担がからないよう気を使ったり、場所を決めるにもみんなの意見を聴いたりと、何かにつけては気を配り、こまごまとした世話を焼いてくれます。
そして、このような行動のパターンは、その方の行動を全体として眺めると、あまり変化がありません。とくに寛いでいる場面では、そのパターンがよく表れます。ですから、そういった行動を見て、人は“A子らしいわね”とか、“B子はいつもそうなのよ”と表現するのです。
こういったパターンは、人が生れ落ちてから社会に適応しながら生きてくるプロセスで、徐々に身につけてきたものです。そして、それはその方が生きていく上で、一番楽なもの、上手くいくもの、自然にできて、かつ効果的、効率的なものなのです。
言ってみれば、これはコミュニケーションのクセのようなものです。ですから、それがどんなものであれ、いいわるいや優劣がつけられるものではありません。また、長い間かかって身につけたものですから、これを変えよう、今の自分とは全く違うパターンを身につけよう、全く違う言動をとる人にすっかりなりかわろうと思っても、あまり上手くいくものではありません。
このような考え方を知ることで見えてくるのは、“人から見た自分”ということです。つまり、社会の中で、私はどう見えているのか、どういう存在なのか、ということです。“私”というのは多様な存在で、心、内に秘めた思い、思考、外からは窺い知れない深層心理、性格、生きてきた歴史などさまざまなものを含みますが、ソーシャル・スタイルでは、まわりの人から見える、あなたの行動のパターンに着目します。